温泉が無くてもサウナがあるさ!
大分県と言えば「おんせん県おおいた」。別府をはじめ、県内いたるところに温泉ありだ。ところが南部の豊後大野市と津久見市にはなぜか温泉がない。そんな豊後大野市が最近、「サウナの町」として注目を集めている。自然豊かな環境でサウナに入り、ととのう。豊後大野市はサウナのように熱い!
これが元祖サウナ!中世の石風呂
サウナはフィンランドが発祥の地。その歴史は6000年とも1万年とも言われる。では日本は? フィンランドには及ばないが、実は奈良時代から山陽地方や四国に「石風呂」と呼ばれる蒸し風呂がある。そして豊後大野市緒方町には国や県などの有形民俗文化財に指定された11基の石風呂が残っているのだ。中でも原尻の滝に流れる緒方川沿いの辻河原の石風呂は16世紀後半から使われ、昭和初期までは日常的に地元民が利用していたという。現在は1月1日のみ利用される現役の元祖サウナなのだ。
川の左岸に面した溶結凝灰岩の岩壁の下部に火室と炎道の溝を設け、火室に火を焚いて床石を熱する。その上部の浴室には薬草の石菖(せきしょう)を敷き詰め、水をかけて蒸し風呂に。立派なサウナじゃないか。神経痛などに効用があるという。岩壁に阿弥陀如来を表す梵字(ぼんじ)キリークの彫刻があり、崖上には戦国時代に焼失した普済寺があったという。阿弥陀如来のご利益、サウナ効果を期待して、毎年元旦に一年の健康を祈ってサウナで汗を流すのだ。
所在地 大分県豊後大野市緒方町辻304-1
電話 豊後大野市観光協会公式サイト
※元旦の使用以外は見学のみ
再利用型サウナはSDGsに適っている!
地元に古くからある石風呂に人々は気づいた。「豊後大野市には和式サウナの歴史があるじゃないか!」。そう、温泉が無くてもサウナがある!やがて「サウナのまち」が観光の呼び水になったのだ。
緒方町の宿泊施設「LAMP豊後大野」は祖母山の麓にあり、約50年前に廃校になった小学校を再活用している。木造2階建ての校舎の外観は英国ハーフティンバー様式のおしゃれな雰囲気に。旧校庭にはサウナキャビンを廃材で建てた。その名も「リビルド(再建築)サウナ(RS)」。収容人数は8人で、自分で薪を燃やして温度調節し、セルフロウリュが楽しめる。奥岳川の最上流部からひいた水風呂は元小学校のプールで、冷たい天然水が最高。新たに3名収容のトレーラーサウナ『Valo』も登場し、フィンランド産の薪ストーブでしっかりとした蒸気を味わえる。3時間でこの2つのサウナが楽しめるのも魅力だ。宿泊せずサウナのみの利用もOK。予約は公式サイトからオンライン予約を。
所在地 大分県豊後大野市緒方町尾平鉱山57
電話 0974-47-2080(電話でのサウナ予約は不可)
営業 平日10:00~13:00・13:30~16:30、宿泊者限定17:00~20:00 土日祝10:00〜11:30、 12:00〜15:00・宿泊者限定15:30〜18:30 、各サウナ1組限定貸切利用RS 20:00〜22:00 ・Valo 20:00〜22:00
料金 平日1名4,500円・土日祝1名4,000円~5,000円・宿泊者限定1名5,000円・貸切RS1組20,000円(最大8名)、Valo1組15,000円(最大3名)
休 月曜・火曜
LAMP豊後大野公式サイト
サウナ後の冷水浴は水中鍾乳洞で!
三重町の稲積水中鍾乳洞は1976年に発見された日本最大の水中鍾乳洞。2億年以上前にでき、8万5千年前の阿蘇山大爆発で水没したとされる。水中に鍾乳石が見られる世界でも珍しい鍾乳洞だ。水中洞窟は全長1㎞以上!今も専門のダイバーによる学術調査が行われているのだ。
そんな天然の水中鍾乳洞を2021年3月からサウナの水風呂に活用開始。恐らく世界的にも珍しいスタイルで、2セット目はスタッフがボートで神秘的な鍾乳洞を案内してくれる。オプションで鍾乳洞SUPも。水中鍾乳洞の水温は通年16度。これが火照った体をクールダウンさせ、唯一無二の「ととのう」感を与えてくれる。サウナは従来のテントサウナと2024年9月に新設された小屋型サウナを完備。アウトドアサウナを満喫できる。
所在地 大分県豊後大野市三重町大字中津留300
電話 0974-26-2468
営業 9:30~17:00の3枠各1組貸切(1枠2時間・最大15名・要予約)
料金 テントサウナ1名9,000円、2名以上は1名6,500円 小屋サウナ1名13,000円、2名以上は1名6,500円(鍾乳洞入場料込み)
休日 無休
稲積水中鍾乳洞公式サイト
キュートなサウナ小屋で良きサウナ
清川町の奥岳川沿いのリゾートキャンプ場「里の旅リゾート ロッジきよかわ」は、川辺のテントサウナと2024年2月に登場したフィンランド式のサウナ小屋「なば」を設置。「JOKI (よき)SAUNA」とネーミングし、「よき」とはフィンランド語で「川」を意味している。また、可愛いサウナ小屋「なば」は地元の言葉で「しいたけ」のこと。薪もしいたけの原木採取で出る廃材を利用しているのだとか。ドイツ製のサウナストーブを設置し、エストニア産のテルモリーウッドの室内がロウリュの香りを最大限に引き出す。
専用の水風呂は奥岳川の天然水とミネラル豊富な地下水を利用。冷たい刺激が心地よく羽衣現象に思わず「は~」と深呼吸してしまう。テントサウナは川のせせらぎに耳を澄ませながらじっくり汗を流せる。水風呂は目の前の奥岳川。澄んだ清流に身を委ねて極上のリトリート気分に。良きサウナで休日を過ごそう。
所在地 大分県豊後大野市清川町宇田枝158
電話 0974-35-3601
営業時間 日帰りテントサウナ11:00~17:00の3枠(各2時間・要予約)・宿泊テントサウナ7:00~21:00の7枠 日帰りなばサウナ10:30~18:00の3枠・宿泊なばサウナ10:30~22:30の5枠
料金 テントサウナ日帰り1名2,500円・宿泊者1名1,500円、なばサウナ日帰り1名3,500円・宿泊者1名2,000円
休日 無休
里の旅リゾート ロッジきよかわ公式サイト
日本一導線が悪い水風呂にハマってしまう
こちらは「里の旅リゾートロッジきよかわ」の川向にあるサウナ小屋。「カフェパラム」のオーナーが自ら建て、フィンランド語で「風」を意味する「Tuuli Tuuli(トゥリトゥリ)」と名づけている。サウナ小屋に小さな窓があり、セルフロウリュでサウナを楽しいながら屋外の緑を眺められる。川の音や野鳥の声などを聴きながら、リラックスできるのが魅力。そして心地よい川風で外気浴ができる。水風呂は当然川に浸かるのだが、急斜面の階段を降り、さらにボルダリングエリアを降り、ロープ伝いで川辺へ。その名も「日本一導線が悪い水風呂」(笑。しかし、清流の天然水風呂はやはり格別だ。
カフェでは石窯ピザやカレー、かき氷などが味わえ、サウナ飯(サ飯)の「ロウリュウカレー」(1,300円)を食べればサウナ料金1,000円が500円に!いや、元々のサウナ料金も安いでしょ!
豊後大野市にはこの他にもサウナ施設があるので、サウナ好きならぜひ訪ねてみよう!
所在地 大分県豊後大野市清川町三玉1699-2
電話 090-4340-2906
営業時間 11:00~18:00
料金 1名1,000円(カフェ利用で500円)
休日 水曜