思い立ったら太良!

思い立ったら太良!
秋冬のカキ焼き海道・竹崎カニ

 佐賀県太良町は日本一干満差のある有明干潟に面し、「月の引力が見える町」をキャッチフレーズにしている。有明海は豊かな海の幸をもたらし、年間を通じた竹崎カニや秋冬のカキが自慢の産物。有明海沿いを走る国道207号にはカキと竹崎カニを提供する飲食店が並ぶ。そして竹崎温泉もある。さあ、思い立ったら太良へ。

秋冬の風物詩カキ焼き小屋は
太良町が発祥の地!

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 カキのシーズンは一般的に9月から4月、英語での表記に「r」がつく月と言われている。海水の水温が下がる時期でもあるため、産地によっては若干の差異もある。太良町の場合は10月半ばあたりから3月までがカキの旬。太良町でカキ養殖が始まったのは平成16年(2004年)とかなり歴史が浅い。その一方で、太良町がカキ焼き小屋の発祥地であり、観光協会の話では約30年前のことだという。ん?数字が合わない。

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 実は有明海でカキ養殖が始まったのは江戸時代末期、隣の鹿島市だったとされる。明治になるとカキ養殖が盛んになり、当時は広島のそれよりも生産量が多かったという。つまり、有明海は「養殖カキ」の先進地だったのだ。そのため鹿島市から太良町にかけて、沿岸の海産物直売所などでカキ販売が行われていた。そして約30年前、太良町のある海産物店が軒先に出したドラム缶の上でカキを炭火焼きにしていたところ、通りがかった客が「美味しそうだから分けてほしい」と声をかけてきた。それが太良町のカキ焼き小屋の始まり、始まり、という次第だ。

太良のカキはなぜうまい?
それは有明海のお陰

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 太良町でカキの養殖が始まったのは先述の通り20年ほど前。元々太良町は素潜りによるタイラギ漁で生産量日本一を誇っていた。しかし、20数年前から不漁になって深刻な事態に。そこで宮城産のカキの種苗を仕入れ、町南部にある竹崎地区で試験養殖の後、本格的なカキ養殖に踏み切ったのである。竹崎地区で育つカキは他地域に比して著しく成長が早く、半年で2年物と同じ大きさになるという。しかも栄養素のグリコーゲンが豊富。そのため焼いても収縮度が小さく、濃厚なうま味と食べ応えを保つ。

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上の写真左は焼く前の竹崎のカキ(上/PC画面左)と他地域(下/PC画面右)のカキ。身の大きさを比べてほしい。そして写真右は焼いた後。やはり竹崎のカキは縮み具合が少なく、身が大きい。プリプリッとした食感でうまい汁が口の中に滴り落ちる。グリコーゲンが豊富な証拠。因みにかの「グリコ」も有明海のグリコーゲンに由来する。

炭火焼のカキをほおばる
海の幸を食べつくす!

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 太良の「竹崎カキ」の急発展とともに、国道207号沿いのカキ焼き小屋の人気も高まり、今や沿線は「たらカキ焼海道」の異名を持つ。観光協会に所属する8店舗を含め、10数店がカキ焼き小屋の看板を掲げる。時期を定めるようなキャンペーンはしないため、各店が10月下旬頃から11月半ばにかけてカキ焼き小屋を開く。その形態もそれぞれ。うどん店の一画であったり、竹崎温泉の土産物屋の横であったり、温泉宿の敷地内であったり。

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 そしてカキはもちろんのこと、太良のもう一つの特産品の竹崎カニをはじめ、ヒオウギ貝やエビ、ハマグリなどの海産物、地元ハム工房のソーセージや和牛など、炭火でジャンジャン焼いて豪快に食べられる。竹崎カニのカニ味噌汁だってある。たまらない。焼く手が止まらない。箸が止まらない。

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竹崎カニも見逃せない!
真っ赤なカニに食欲が増す!

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 カキ焼き小屋を目指して国道207号をドライブすると、カキ小屋の看板と共に嫌でも竹崎カニ料理の店やのぼり旗が目に飛び込んでくる。カキ焼き小屋でも竹崎カニは食せるのだが、たっぷりと味わうなら専門店や町の最南部にある竹崎温泉街の宿は魅力的だ。竹崎カニはワタリガニの一種で冬から春先は雌が旨い。雄は春から晩秋が旬。そのためカキ焼きシーズンは雌ガニが味わえる。雌(上/PC画面左)は雄に比べて甲羅が横に長く、ハサミ足は短い。この時期の雌は卵をたっぷりと擁している。そのため栄養もたっぷり。道の駅太良ではカキと共にこの竹崎カニを買い求めることもできる。

思い立ったら太良!
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 タラバガニや毛ガニとは異なり、温暖な海に生息するワタリガニにとって、有明海は格好の生息地。しかも干満差が激しい干潟は河川の流れ込みもあり、餌となるプランクトンが豊富だ。そのため竹崎沖で獲れるワタリガニは古くから評判だったという。元々この竹崎地区は陸地と短い橋で結ばれた「竹崎島」という島。温泉街があり、「たら竹崎温泉」の名で知られる。

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 戦前は水揚げしたカニを長崎県諫早市方面へ出荷していたという。島内で捌いて売ることにこだわった人物がカニ料理店を始め、陸地と島を結ぶ道路を整備させた。さらに私財を投じて温泉を掘り起こし、温泉旅館とカニ料理の「たら竹崎温泉」へと発展させた。この人物の名は石田仁一。ひなびた漁村の島を一代で観光地に押し上げた。カニに負けない真っ赤な情熱で。
 そして今や、日帰り温泉や宿泊で竹崎カニ料理を堪能できる。懐石料理のメインはカニが定番。茹でガニ、カニ鍋、その〆のカニ雑炊、カニの天ぷら、刺身、焼きカニ…。カニ味噌も濃厚で、ああ、やっぱりたまらない!思い立ったら太良へ、行くべし!

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太良町観光協会

所在地 佐賀県藤津郡太良町伊福3488-2(道の駅太良敷地内)
電話0954-67-0065
営業時間 9:00~18:00
休業日 1月1~3日
アクセス 長崎自動車道武雄北方ICから約45分
太良町観光協会公式サイト:https://tara-kankou.jp/

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