道の駅 宮地岳かかしの里オープン
2021年3月21日オープン!
廃校となった小学校校舎が道の駅に生まれ変わった!
熊本県天草市は東シナ海に浮かぶ天草上島・下島の大半を占める「離島の町」。離島とは言え、実は熊本県内では人口数第3位であり、本土と橋でつながった離島自治体で最も人口が多いという。そんな島は対岸の長崎県島原半島と同様、潜伏キリシタンの歴史があり、離島ならではの豊富な海の幸と共に、見どころも多い。
天草市は道の駅運営に力を入れており、2021年3月21日に開業した「道の駅宮地岳かかしの里」は天草市5番目の道の駅。天草市中心街の本渡から車で15分ほどの内陸部にある。一帯はのどかな農村地帯。農村と言えば「かかし」が牧歌的風景のシンボルだ。この道の駅の名前に「かかし」がつくのも、実は「かかし祭り」が盛んな地域だからだ。実際、道の駅近くの田畑にはかかしの姿が。オープン直前に訪れた時は、道の駅周辺の菜の花畑が満開。そこにもかかしが立っている。
「駅舎」は旧宮地岳小学校校舎。9年前に廃校となった。鉄筋二階建ての小ぢんまりとした校舎が道の駅に生まれ変わった。廃校跡を活用した道の駅は全国的にも珍しい。九州では大分県の道の駅かみつえ郷せせらぎに次ぐと思われる。それはさておいて、校舎二階のベランダから手を振るのもかかし、旧校舎、もとい、駅に入るとまたかかし。校舎二階はかかしの常設展示室となっている。かかしで教室風景やかかし作りの様子、そして地域の婚礼の様子を再現。運営会社社長の松川莞爾さんによると、その数は約530体。かかしの顔は水彩絵の具で描いている。そのため「屋外のかかしは雨の日はビニール袋を顔にかけよるんよ」という。かかしは地域にとって大切な「住人」なのだ。
物産館スペースには天草の特産品が勢ぞろい。あおさ、めかぶ、海苔といった海藻類、削り節、焼き車エビのだし、伊勢海老の即席みそ汁など、やはり海産物系が目を引く。米やそばも自慢だという。特にそばには力を入れ、レストランを運営するのは地元の人気そば店「苓州屋」。聞けばオーナーがこの旧宮地岳小学校の卒業生という。廃校となった母校が道の駅に生まれ変わるのを機に支店を出した。このレストランでそば打ち体験も実施する。
廃校が道の駅に生まれ変わり、人々が集い、卒業生らがもてなす。その傍らで素朴な表情のかかしが見守っている。規模が大きいのでも華やかなのでもない。しかし、懐かしく温かいものがそこにある。
道の駅宮地岳かかしの里
熊本県天草市宮地岳町5516-1
☎ 0969-28-0384
営業時間:9:00~18:00
定休日:第1・3水曜日、12/31〜1/1
アクセス: 松島有明道路上津浦ICより35分