桂昌寺跡・地獄極楽

ほの暗い照明の中に浮かび上がる閻魔大王や冥府の門番。
ここは地獄の一丁目? それとも天国への階段?
高僧が掘った摩訶不思議な洞窟の謎に迫る。

体感!日帰りあの世ツアー
暗闇の地獄を抜けた先には希望の光差す極楽世界が

 大分で地獄と聞けば、多くの人は別府の地獄めぐりを連想するだろう。しかし、宇佐市安心院町には地獄だけでなく極楽も体験できるスポットがある。田園地帯の小高い丘の上にある洞窟「桂昌寺跡・地獄極楽」がそれである。
 この洞窟が造られたのは江戸時代後期。天台宗の僧、午道法印が廃寺となっていた桂昌寺を復興する際に、字の読めない民衆に仏の教えや地獄・極楽の概念を理解してもらうために造ったといわれている。洞窟自体も自然にできたものではなくノミで手彫りされており、村人総出での作業だったとか。壁面には今でもノミの跡がクッキリと残っている。

 
赤鬼・青鬼が待ち受ける血の池地獄。池の色は赤くない
三途の川の渡し賃を持たずに来た亡者の衣服をはぎ取る脱衣婆
 

 洞窟内は入口に牛頭・馬頭を従えた閻魔大王がおり、地獄行きか極楽行きかの審判を受ける。その後は赤鬼・青鬼がひかえる血の池地獄や、奪衣婆が待ち受ける三途の川などがある地獄窟を一巡りし、釈迦如来や文殊菩薩といった仏像が並ぶ極楽窟を通り外へ出る。さらに、そこから伸びる縦穴を上れば、極楽浄土に見立てた光降り注ぐ丘の上に繋がるという趣向だ。いわば、あの世を疑似体験するテーマパークといったところだろう。縦穴には鎖が垂れ下がっており、芥川龍之介の小説「蜘蛛の糸」のカンダタよろしく、それを伝って上るのだが、これまで数え切れない人たちが上ったであろう壁面はツルツルになっており、また湿気で湿っていることもあって非常に滑りやすい。挑戦する際には、多少衣服が汚れることを覚悟しておいた方がいいかもしれない。
 地獄窟にある像は、迫力はあるが現代人から見ればシュールでユーモラスにさえ思えてくるが、ろうそくなどの照明しかなかった当時の人にとっては、十分恐怖を感じるものだったのだろう。それ故に、極楽窟から見える出口付近に差し込む陽光は希望の光に映ったに違いない。わずか30分足らずで一巡りできるあの世ツアー。一度体験してみてはいかが?

 
洞窟出口から外を見る。日差しの温もりに感謝する瞬間だ
針の耳を上った先は田園地帯を望む爽快な眺め。まさに極楽浄土
 

桂昌寺跡・地獄極楽

大分県宇佐市安心院町東恵良7 
問合せ 宇佐市観光協会安心院部会
0978-34-4839
入場料 100円(有志)      
アクセス 東九州自動車道安心院インターから約10分

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