味噌・醤油づくりを受け継ぐ城下町・臼杵

城下町・臼杵には、九州を代表する二大醤油メーカーの本社が存在する。
そのルーツは江戸時代に臼杵の町を作った稲葉氏にさかのぼるという。
風情ある町並みを歩きながら、九州の醸造の歴史に触れてみよう。

戦国時代から続く商店街、慶長年間から続く醤油屋

 九州以外の地域ではなじみが薄いかもしれないが、臼杵市には九州では名の通った味噌・醤油メーカーが2社ある。文久元年(1861年)創業の「フンドーキン?油」と明治16年(1883年)創業の「富士甚醤油」だ。しかし、そのルーツとなったのは「鑰屋」の屋号を持つ「カニ醤油合資会社」だ。
 「八町大路」と呼ばれる商店街にあり、創業は慶長5年(1600年)と店先に表示している。関ケ原の年だ。美濃(岐阜県)から藩主稲葉貞通が臼杵に移封される際、七人の侍が臼杵を偵察。そのうちの一人が藩主の許可を得て味噌・醤油などの商いを始めたという。以来、現在に至り、九州最古の味噌・醤油屋なのだ。「鑰屋」の醸造技術が臼杵の醸造業を発展させたとされる。今も12代目の可兒愛一郎さんを中心に家族従業員総出で味噌・醤油を作り、販売する。
 この「八町大路」の「カニ醤油」の並びには「フジジン」のアンテナショップ「富士屋甚兵衛」もある。明治時代の古い商家を借りたものだが、商店街には古い商家が多く残る。約450年前に大友宗麟が商人町の基礎を築き、稲葉家が商店街の形態を完成させたという。風情があるはずだ。

 
アーケードを撤去し、電線を地中化させて歴史的景観を大切にしている八町大路
カニ醤油のみそソフト(350円)。味噌とみりんで作ったソース、味噌クランチ、味噌パウダーをトッピング
カニ醤油の店内。昔と変わらぬ佇まいを残す
富士屋甚兵衛のしょうゆソフト(310円)。醤油の味を感じさせず、むしろ醤油でバニラの味を引き締めているのだという
 

 町の西側、臼杵市浜町は「フンドーキン?油」創業の地。味噌・醤油で九州一の生産量、麦味噌では全国一の生産量を誇る。現在は臼杵川河口の中洲に本社と工場を持つ。江戸時代末期に同じ浜町の「小手川酒造」から分家し、「小手川商店」の名で味噌・醤油を造り始めた。
 「小手川酒造」の向かいに同社のアンテナショップ「小手川商店」があり、商品を販売する傍ら、臼杵の郷土料理を出している。くちなしの実で黄色に染めた「黄飯」は、財政難だった藩主が赤飯の代わりに広めたとも、大友宗麟時代にスペインのパエリアを真似たともいわれる。大根、ゴボウ等の野菜とエソのそぼろを薄口醤油で煮込む「かやく」は忙しい商家の料理。黄飯にかけて食べても良い。そして卵黄の味噌漬けと豆腐の味噌漬け。いずれも秘伝の味噌床に数日漬け込んで作る。味噌汁は同社自慢の麦味噌で。
 さて、同社は「大分醤油協業組合」の創設にも大きく貢献している。昭和52年(1977年)、臼杵インター近くに組合の工場が落成。その組合結成と工場建設に奔走したのが4代目社長の故小手川力一郎氏だった。
 現在の組合員は県内19社。工場が組合員の商品製造の全工程ないしは一部工程を請け負う。家族経営が大半の業界で、商品の安定供給と事業継続を支える。小さな町で愛される地域の醤油の味が守られているのだ。組合創業の誓いは「日本一良い醤油をめざす」。ギネス公認の世界一の木樽は、昔ながらの手作り醤油の味を出すためという。醤油造りに賭ける熱き想いがそこにある。

 
創業当時の伝統的な臼杵の商家建築の趣がある小手川商店。ここにもみそソフト(310円)がある
小手川商店の臼杵郷土料理。写真はみそ汁御膳「風」(1,000円)。5人以上または「花野」(1,500円)は要予約
 

カニ醤油

大分県臼杵市臼杵218
0972-63-1177
営:9:00 〜18:00
休:火曜日
http://www.kagiya-1600.com/

フンドーキン醤油

大分県臼杵市大字臼杵501
0972-63-2111
https://www.fundokin.co.jp/

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