博多伝統芸能館と博多芸妓

博多芸妓の唄と踊り、お座敷遊びも体験。
芸どころ博多の粋をたっぷり満喫!

博多伝統芸能館トップ

最盛期には券番5軒に芸妓2千人
映画にもなった博多の芸妓

 芸妓(げいぎ・げいこ)や舞妓というと、京都祇園を連想しがちだが、かつては日本各地の商都や遊興地などに「芸者(芸妓)」がいた。時代と共に姿を減らしたが、今でも「赤坂芸者」「長崎芸者」などの芸妓・芸者がいる。博多芸妓もまた同じ。江戸時代中期に現れ、20世紀初めの全盛期には芸妓の置屋である券番が5軒あり、約2千人の芸妓が博多の宴席を賑わしていたという。大胆な言動と気風の良さが人気となり、1954年には博多芸者を主人公にした映画まで作られたほど。そんな博多芸妓の唄と踊りを実際に見てみよう!
※写真をタップ、またはクリックするとキャプション(写真説明)が出ます。

博多でも知る人ぞ知る
博多芸妓の世界へ

 

 博多の総鎮守・櫛田神社の清道入口のほぼ斜め向かいにある「博多伝統芸能館」。2017年に開館し、博多に唯一残る「博多券番」の事務所と稽古場を兼ねているという。ここではほぼ月2回開かれる博多芸妓の定期公演を3000円で気軽に鑑賞できるのだ。
 エントランスに入ると博多帯のモニュメントが飾られ、演舞場に続く廊下の壁は博多織の献上柄。博多の伝統への誇りと愛着がひしひしと伝わってくる。演舞場の観客席は20席ほど。完全予約制で福岡商工会議所内の「博多伝統芸能振興会事務局」が窓口だ。
 現在14名いる芸妓さんの出演は入れ替わりで、この日は唄・三味線などを演奏する地方(じかた)が「はと奴」さん、「愛佳」さん、そして半玉(はんぎょく)の「志おり」さん。舞を披露する立方(たちかた)は、「豆みつ」さん、「麗華」さん、半玉の「比奈鶴」さんと「こ蝶」さんだ。因みに「半玉」とは見習いを指し、京都祇園でいう「舞妓」に相当する。さあ、いよいよ博多芸妓の世界へ。

 

 
博多伝統芸能館は櫛田神社向かい、博多町家ふるさと館もすぐ近く
受付では芸妓さんのポストカードなどを販売
博多の伝統工芸博多織の帯のモニュメント
 

初めて間近で見る芸妓の舞
博多の古き良き唄でしっとり

 拍子木が鳴り、舞台袖のふすまが静かに開くと、三味線と唄の地方二人が登場。最初の曲は「博多に来るときゃ、一人で来たが、帰りゃ人形と二人連れ」という粋な「正調博多節」だ。「人形」は「博多人形」かそれとも「博多美人」か。ベテランの「豆みつ」さんがしっとりと舞い、幕開けの空気を締める。二曲目はすらりと背の高い「麗華」さんが舞う。三曲目の「博多の四季」では三味線が二人になり、地方は三人に。そして半玉の「比奈鶴」さんと「こ蝶」さんが登場。半玉は桃割れの髪に花簪やつまみ簪、着物は振袖だ。
 舞い納めは4人全員で。「めでた、めでたの若松様よ、枝も栄えて葉も茂る」と地方が歌い、立方4人が「さ~あさ、浮いた、浮いた。や~と、やとやとやと」と合いの手を入れる。そういえば、石川さゆりの「火事と喧嘩は江戸の華」でこの歌詞が出てくる!歯切れの良い三味線や唄はちょっとしたロックだ。賑やかに舞って前半が終了した。さあ、次はお座敷遊び体験だ。

 

 
ベテランの豆みつさんが「正調博多節」をしっとり、艶っぽく舞った
半玉の比奈鶴さんとこ蝶さん
麗華さんはすらりとした立ち姿の芸妓さん
地方のはと奴さん、愛佳さん、そして半玉の志おりさん
 

「とら、と~ら、と~ら、とら」
お座敷じゃんけんにハマる!

 お座敷遊び体験は観客が参加でき(蔓延防止対策期間中は不可)、やはり内容も日によって異なる。この日のお座敷遊びは「とらとら」というお座敷じゃんけん。トラ退治で有名な戦国武将加藤清正にちなんだものだとか。ジェスチャーで「加藤清正」「トラ」「清正の母」を演じる。加藤清正はトラに強いが、母には頭が上がらず弱い。しかし、老いた母はトラに弱い。つまりトラは母に強く、母は清正に強く、清正はトラに強い。「グー、チョキ、パー」の3ループ法則だ。
 舞台の中央に立てた金屏風を挟んで、参加者がはやし唄に合わせて屏風越しに相手が誰かを探り、「とら、と~ら、と~ら、とら」の掛け声で「清正」「トラ」「母親」を演じる。清正は槍を持ち、トラは四つん這いになり、母は腰を曲げて杖をつく。そのジェスチャーで金屏風の前に姿を出して勝負をつけるのだ。
 にぎやかな鉦太鼓、三味線のお囃子唄に合わせ、たすき掛けの仕草をしたり、金屏風の仕切りから両手親指と人差し指を両目に当てる「眼鏡」ポーズで相手の出方をうかがう。そして「とら、と~ら、と~ら、とら」の掛け声3回目で、勝負のポーズで金屏風の仕切り外に出る。たちまち「負けた~」「勝った~」の勝敗が決まる。ちなみに筆者はトラのポーズで出たら、対戦相手の麗華さんは加藤清正。負けた。
 楽しくお座敷遊びを体験した後は、博多芸妓さんたちとの質疑応答タイムだ。ベテランの豆みつさんが中心になり、ちょっぴり現実的な質問もやんわりオブラートに包みながら答えてくれた。最後は参加者グループごとに記念撮影。約50分の鑑賞・体験はあっという間に過ぎた。博多伝統芸能館を後にしながら、「とら、と~ら、と~ら、とら」と口ずさんでいた。ほぼ無限ループ。やばい。

 
両手で丸眼鏡を作って相手を伺い…
質疑応答ではいろんな質問に気軽に答えてくれた
清正の母になったお客さんの負け!
最後は希望者には記念撮影にも応じてくれる
 

博多伝統芸能館

福岡市博多区冷泉町2?20
092-441-1118(福岡商工会議所内博多伝統芸能振興会事務局)
料金:3000円(予約制)
https://hakata-geinou.jp

ふらっとチャンネルでも見てね

関連記事

  1. 博多千年門は承天寺通りの入り口に立つ。

    二千年の歴史・博多旧市街の旅

  2. 石橋文化センター

  3. 今村天主堂

  4. 星の文化館・茶の文化館